2018年読書メーターまとめ・134冊

2018年の読書メーター
読んだ本の数:134冊
読んだページ数:39725ページ
ナイス数:2249ナイス
https://bookmeter.com/users/269616/summary/yearly
■夜廻り猫(3) (ワイドKC)
年越しのお楽しみに、未開封状態。「心で泣いていている」人は、たーくさんいるのですよね。どのエピソードも、大切な8コマ。新作が待ち遠しいです!
読了日:01月02日 著者:深谷 かほる
https://bookmeter.com/books/12345985
■dele ディーリー
「自分の死後、不要となるデーターを削除」してくれる。そういえば一日PCやスマホの電源を入れないことって、ないなあ。まあ個人的には「見られちゃまずい」データーはないけど、ちょっと「あるかも」な設定がいいし。クールな圭司とちょっとだけ熱い祐太郎のコンビが、依頼者の死後確認に行った先で起こる出来事が面白かったです。結構図書館の順番待ちした作品です。みんな思い当たる節があるのかな。
読了日:01月03日 著者:本多 孝好
https://bookmeter.com/books/11961720
■14歳の水平線
「神様の島」に住むバツイチ征人と、その息子加奈太を軸に。加奈太の嫌々参加させられたキャンプでの出来事が、とても瑞々しいです。そして父も昔は息子。それぞれの夏と、思い出の夏がサクっと読めて爽快です。ただ、真冬に読む作品じゃないな(笑)。
読了日:01月06日 著者:椰月 美智子
https://bookmeter.com/books/9772156
■うちのご近所さん
ご近所ネタ、あるある~。妙に世話好き・噂好きのおばちゃんだったり。反対に何しているのか不明の家だったり。こういう身近な人の短編集は、群さんならでは。面白かったですね。
読了日:01月06日 著者:群 ようこ
https://bookmeter.com/books/10212098
■神は背番号に宿る
「1」は王さん、「3」は長嶋さん。そんな話から、江夏、村山、池山、谷沢。私世代以上の方ならおなじみの選手にも、いろんな逸話があるのが興味深い。年俸が現状維持が続いたので、「1」を下さい。もっとやって見せます、なんてまさにかけひき&男の極め。永久欠番の話も、知りませんでした。ちょうど読んでいた時に星野仙一さんの逝去のニュース。無念。
読了日:01月07日 著者:佐々木 健一
https://bookmeter.com/books/11473018
■先生と僕
人に流されやすい大学1年の二葉と、頭脳派中一隼人の凸凹コンビが、最高!  坂木さんらしいノリ。書店の売り物雑誌に貼られた付箋の電話番号の謎。プールで拾った数字のメモ。設定がとても身近なところなので、サクッと読みやすかったです。続編「僕と先生」もすぐ読みたい~。
読了日:01月08日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/575290
■僕と先生
前作もよかったのですが、2作目の方が「謎解き」色があって面白かった。隼人君の頭の回転の速さや、ちょっと計算されたかわいこチャン風で相手を惑わし。喫茶店のメニューの話は、思わず「なるほどー」でした。
読了日:01月13日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/7922743
■ファミリーデイズ
「お母さん一年生」な瀬尾さんの、育児日記のようであり、家族日記のようであり。赤ちゃん揺らす機械と一緒に自分も寝てしまうご主人にほっこり。15年勤めた中学校の教員生活。中学生も幼子も、そういえば似ているなあと時々振り返っている瀬尾さんがいい。どんな仕事や事柄も、きっといつかまた役に立つ時が来るもんです。もう少し娘さんの成長を、傍で読みたい気もします。
読了日:01月15日 著者:瀬尾 まいこ
https://bookmeter.com/books/12427858
■東京ピーターパン
実は1年半前に読んでいたということが、このサイトでわかった。けど全く覚えていないのはなぜ?最後のつながりと反転。いいじゃんと思ったのに・・・。ま、いっか。
読了日:01月18日 著者:小路 幸也
https://bookmeter.com/books/4245878
■ささらさや (幻冬舎文庫)
最初は生後間もない赤ちゃんを連れて、知らない場所に引っ越したサヤが危なっかしいったら、ありゃしない。だけど近所の世話焼きばあちゃん3人組と、ヤンママ・エリカと知り合うことで。徐々にたくましくなっていく所が、読み応えありますね。都合のいいところで、他人の姿かたちを変えてなき夫が出てくるあたりはファンタジーですね。良作でした。
読了日:01月20日 著者:加納 朋子
https://bookmeter.com/books/578944
■阿久悠と松本隆 (朝日新書)
70年代~90年代の日本の音楽シーンを、オリコンチャートや賞レースで振り返りながら二人の作詞家を対比する。なかなかおもしろい構成だし、題名が惹きつけられましたね。その頃一番音楽を聞いていたので、思い出すところあり、発見するところあり。ボリュームのわりにスイスイ読めて興味深かったです。あの頃はいい音楽がいっぱいあったもんなー。
読了日:01月22日 著者:中川右介
https://bookmeter.com/books/12440395
■ピエロがいる街
横関さんは、はずれなし! もっと評価されていいと思う。で感想。市長にかかる行政の話と、ピエロの格好をした謎の人物。これが交互に進んでいくけど、とてもテンポよく進んでいくのが実に面白い。いったいピエロは何者?もしかして・・・。このトリックに「ええーーー」。正反対の答えだったのがヤラレタ。映像化は、無理だね。だって・・・。横関さん、ついて行きます♪
読了日:01月31日 著者:横関 大
https://bookmeter.com/books/11703706
■夏の祈りは (新潮文庫)
須賀さんの高校野球物、大好きです。最初はいい話だなあと思って読んでいくと、気づきました。前の章にでてきた人物が監督だったり、トレーナーで出て来たり。だみ声のOB会長も出てくる30年にわたる、連作短編集なのね。中でもお気に入りは「マロ」投手。コントロールがいまいちだからと、いきなりサイド投法に変更って! 彼の将来を見据えた「野球論」は、びっくり。「悲願の県大会優勝」。とっても読み応えありました。おすすめ。
読了日:02月03日 著者:須賀 しのぶ
https://bookmeter.com/books/12088575
■棲月: 隠蔽捜査7
大好きなシリーズです。「棲月(せいげつ)」の意味が分かったときは、妙に納得。「仕事をきっちりする。それに階級は関係ない」。そんな竜崎が、今作では時に感傷的で人間臭いところが味わい深い。竜崎も人間の子。大森署にもサイバー事案なのは、時代の流れ。大森と伊丹との絡みも多くて嬉しかった。1~2冊隠蔽捜査シリーズを読んだことのある方は、この7は絶対外してはいけない。最後の2ページで泣けた。ちゃんと人は見てくれているのだ。
読了日:02月04日 著者:今野 敏
https://bookmeter.com/books/12557450
■婚約迷走中 パンとスープとネコ日和
ほんの半径300mの出来事を書いたら、やっぱり群さんだな。しまちゃんの「一緒に住みたくない」は何となくわかるけど「籍も入れたくない」。うーん。それじゃあただの彼氏のままでいい気はしますけどね。その辺は前作からの流れですが。シオちゃん、優し過ぎるわー。イメージ的に俳優の駿河太郎さんっぽいですね。
読了日:02月12日 著者:群ようこ
https://bookmeter.com/books/12617336
■イレギュラー (角川文庫)
弱小ニナ高×甲子園に出場したK高校×被災した村民。最初は高校の登場人物が頭の中で整頓できず、ちょっと読むのが手間取ったけど。途中からは気にしませんでした。お涙頂戴のストーリーじゃないのが、異色だし、いい味出してます。途中(笑)っぽいところがツボ。終盤は読む手を止めるのがもどかしいほど夢中になりました。
読了日:02月15日 著者:三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/611130
■夢幻花(むげんばな)
何んともナイスすぎるタイトル。なぜ祖父は殺害されたのか。あの黄色い花はどこへ行ったのか。梨乃と祖父に恩がある蒼汰が、いろんな面から真相に迫っていくのが読み応えあり。登場人物の相関図が頭にないと最初は戸惑うけど。核心に迫っていく所で、くるっと違う事件の本当の姿を見せられて。そっちかー、と脱帽。きっと映像化されそうですな。
読了日:02月18日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/6522925
■掏摸(スリ)
日の当たることのない世界。もっと「掏摸」の世界かと思ったけど。どんどん深みにはまって、もう抜けられないダークサイドに陥る主人公。その中でもあの少年こそが、先の光か。ちょっと苦手な内容でした。ごめんなさい。
読了日:02月18日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/561597
■愛は味噌汁 食堂のおばちゃん(3) (ハルキ文庫)
「味噌汁は具沢山」、そうそううちのばあちゃんもそう教えてくれました。味噌汁を飲んだ時のほっとするあの瞬間。それが「はじめ食堂」なんだろうなー。誠実でまっとうで家庭的な味。あー傍にあって欲しいなあ。一子と二三、バイトの万里。この3人がお客さんの日々の動きを通して、食堂を営み続ける子の日々が、いつまでも続いて欲しい。東京オリンピックに開業したこの食堂、次のオリンピックまで話続いてほしい。ご馳走様!
読了日:02月25日 著者:山口恵以子
https://bookmeter.com/books/12621267
■炎上チャンピオン
正直なところプロレスに興味が全くなかったのですが。横関さんなので読んでみた。むふふ、やるなあ。自粛することになったプロレスが。いろんな出来事を通じてまた息を吹き返していくのがかっこよすぎる。スポーツであり、ショーであり。そういえば子供の頃は、休日の地上波でプロレス中継やってたよなあ。
読了日:02月27日 著者:横関 大
https://bookmeter.com/books/10695295
■ミナトホテルの裏庭には
どちらかというと重い内容なのに、この爽やかな風が吹いている感じって。不思議な作品。ホテルになんかしら集う人たちが、訳ありだけど力んでないのがいいかな。それと私もいい年なので、身辺整理っていうのはきちんとしておこうかと。おまけの話も、なるほどと良かったですね。
読了日:03月03日 著者:寺地 はるな
https://bookmeter.com/books/10124222
■定年オヤジ改造計画
他の方も書かれているけど、あえて書きたい。若い世代・そしてジイジ世代。男性陣読むべし。「夫婦」といっても、それぞれの人格を尊重しなきゃいけないし、「女だから家事」なんていう刷り込みした責任者出てこーい!。このジイジはもう名優・橋爪功さん以外思いつかない。というか頭の中でキャラが動きました(映画「家族はつらいよ」の影響もある)。女性目線から見た日々の落とし穴なストーリー書いたら、垣谷さん最高ですね。ジイジが少しずつ変化していく姿を見て一言。「やればできるじゃん!」。めちゃおすすめ!
読了日:03月07日 著者:垣谷美雨
https://bookmeter.com/books/12663155
■1985年の奇跡
外で読んでたら思わず吹き出してしまって大慌て!。1985年に高校生だった私には、ど真ん中すぎてもう最高♪ 夕方4時は「夕ニャン」。それを見るために野球部の練習が4時に終わるなんて・・・。今なら考えられないでしょうね。当時の芸能ネタを盛り込んだ野球物って一体。だけどエースの秘密がわかってさあどうすんの?と一緒に盛り上がっちゃいました。生徒を取り締まりすぎる校長先生が、いいスパイスになりました。なんでこんなナイスな本が図書館の書庫にあるなんて。もったいない~。楽しい1冊でした。
読了日:03月11日 著者:五十嵐 貴久
https://bookmeter.com/books/554421
■ビギナーズ・ドラッグ
「産まれてから一度も、薬をのんだことがない」という人は、ほぼいないでしょう。話の核となるのは難病「ラルフ病」の治療薬の開発話。やもするとクソ(失礼)難しい理系話になりがちなのを、言い出しっぺが管理部門在籍の主人公という設定にすることで、文系脳でもわかるのがナイス。専門用語も出ては来るけど、サクサク読めました。1章は一介の事務員の水田、2章は薬物動態部の理沙ーメインが切り替わるところがアクセントにもなってました。登場人物も好きないので面白かったですよん!一気読みでした。
読了日:03月12日 著者:喜多 喜久
https://bookmeter.com/books/12343050
■監督の問題
サクッと読めて、実に面白かった!。選手と球団に挟まれた管理職的な監督の、いろんな問題山積。大抵の野球小説は、試合の内容や選手の話が重点的だけど。監督ってベンチでこんなこと考えてるのかーとか、選手のトレード話が面白かったです。球団女性広報や奥さんの話が、いい匙加減。みんなで元気に円陣組んで、掛け声かけるのが、勝てるチームの秘訣ですな。
読了日:03月16日 著者:本城 雅人
https://bookmeter.com/books/11967405
■緑の庭で寝ころんで
「宮下奈都さんがぎっしり詰まった」1冊でしょう。子供の時にピアノを習わなかったら。3人の母親にならなかったら。1年限定で北海道に移住しなかったら。「羊と鋼の森」も「スコーレ№4」も。この世に発表されなかったでしょう。そう感じさせるエッセイ集。自書・他書の書評もあって、書評物は苦手なんですがサラッと読めました。『寝ころんで読んでもらえる位がちょうどいい』とあったので、本当に寝ころんで読了。地元・福井新聞の月一エッセイ4年分を核に構成されているのが、東京の出版社で発刊というのも、なんだか鼻高し♪
読了日:03月19日 著者:宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/12464468
■闇の叫び アナザーフェイス9 (文春文庫)
読む前に裏表紙を見ちゃったよ(泣)。堂場さん作品で一番好きなシリーズでした。「イクメンパパ」の側面も多かったので、一人息子の優斗がここまで大きくなったら、この辺で幕引きも致し方ないか。今作は犯人が早めにわかって、どう当てていくかの駆け引きが読ませましたね。完結ということで、このシリーズにかかわった、オールキャスト勢ぞろいっていうのがうれしかったです! 
読了日:03月20日 著者:堂場 瞬一
https://bookmeter.com/books/12629791
■おもかげ
「死の間際にいる患者さんは、こちらからの声かけが聞こえている」。そんな言葉を思い出しました。浅田次郎さん作品は数冊読んだだけですが、何となく「地下鉄に乗って」にイメージが似ているかなあ。登場人物がそれぞれに、主人公のと関連があるところなどはよかったです。うちの親世代(戦中・戦後)ぐらいの方は、もっと感情移入できると思います。
読了日:03月25日 著者:浅田 次郎
https://bookmeter.com/books/12402897
■警官倶楽部 (ノン・ノベル)
「警官なんてあてにならない」。警察マニアが一堂に介すれば、強さ抜群連係プレー。事件やら登場人物の多さなんて気にせず、サクサクグイグイ読みました。場面ごとにタイトルがついているのでわかりやすし入りやすい。「警察24時」をこよなく愛す私には、ツボ押されっぱなし! 着信音があの警察ドラマの主題歌って(笑)。たまにはノベルズ本もおもしろし。
読了日:03月29日 著者:大倉 崇裕
https://bookmeter.com/books/439200
■出会いなおし
うーん、帯の文言が一番良かった気がする(ファンの方ごめんなさい)。あげるとすると、デパ地下で買ったカブのサラダの話。おかしいと思った時一人でいると、電話しちゃうのに共感しました。きっと「そうだよねえ」と話しあえる人がいると、違う。最後のもらい事故のわずかな間の走馬灯のような振り返り。そんな目に合わないように、気を付けようっと。
読了日:04月01日 著者:森 絵都
https://bookmeter.com/books/11531232
■手のひらの京
綿矢さん初読です。帯に、綿矢版「細雪」とありましたが読んでないし・・・。奥手の長女・綾香、会社の上司と恋愛でもつれる次女・羽依、東京への就職をためらう三女・凛。同じ姉妹でもいろいろありますね。読み手がそれぞれ自分は誰に近いか当て読みするのもいいでしょう。私は綾香かなあ。全体に漂う京都の雰囲気、いいですね。まあ、よそもんの私には住めないでしょうが。さらりと終わった感じです。
読了日:04月02日 著者:綿矢 りさ
https://bookmeter.com/books/11152461
■婚活探偵
大門さんって、こんなコメディタッチな作品もあるのね。意外。婚活と探偵。この設定が面白いしナイス 。探偵の話3・婚活の話4・自分の中の闘い1・あと諸々。さらっと書かれている中にも、婚期が遅かった私には刺さる言葉も多かったです。読んでいて映像が浮かびやすかったので、案外ドラマ化もいいかも。赤川次郎さんテイストもあったかな。面白かったです。
読了日:04月08日 著者:大門 剛明
https://bookmeter.com/books/11928988
■本のエンドロール
これは凄い本に出合ってしまった。作家・営業・編集・校正・書店員。そこに今回は「印刷」に着眼したのがナイス。印刷会社にも営業・データ入力・印刷現場があり、それぞれの話が交わりながら進むので、読む手が止まりませんでした。中でも印刷現場の「宝の持ち腐れ」5号機を日々メンテするジロさんと、家庭に悩む野末が印象的。映画にエンドロールがあるように、本にだってエンドロールは凝縮されて、ある。「パパたちが造った本」。上半期ベスト3に入る快作!。ぜひ手に取って欲しいです。
読了日:04月11日 著者:安藤 祐介
https://bookmeter.com/books/12630194
■風とにわか雨と花
小路さん版「君たちはどう生きるか」ともいえそう。これからの人生、どう生きて、何があって、必要なものは何か云々。サクッとした会話文中心のなかに、押し付けがましくない風に書かれているのがいい。両親の離婚という、子供にとって初の大事件をきっかけに。両親や周囲の人と、姉弟が会話することで学び感じている。読みやすいので、読書苦手な方にお勧めしたいです。
読了日:04月14日 著者:小路 幸也
https://bookmeter.com/books/11754639
■シネマコンプレックス
映画好きだから映画館で働く。でも好きと仕事は違う。映画館へは月一くらいで行くので、その映画館をイメージしながら読みました。なのでイメージしやすかったです。いろんな仕事があって、それもほとんどがアルバイト。辞めていくスタッフが続出なのも、わかるような気がする。地元もいつも募集してるし。中でも最後の「プロジェクション」が好き。あの映画の話もあったし、アラフィフ世代にはうなずける箇所も。なので、映画館へ行ったことのない人には、ちんぷんかんぷんかもです。
読了日:04月17日 著者:畑野智美
https://bookmeter.com/books/12451795
■手のひらの音符
勤務先が事業縮小で、閉鎖される危機になった主人公の現在の話と。同窓会の通知を機会に思い出す子供の頃の話。この二つが行ったり来たりの割には、読みやすい。過去の話はどんどん進行していって、現在につながっていくのもナイス。過去の辛かった出来事と、そこにいた幼馴染兄弟。そのエピソードが濃くて、読み応えあり。藤岡さん、はずれないです。
読了日:04月27日 著者:藤岡 陽子
https://bookmeter.com/books/7875700
■メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (角川文庫)
最近流行のおじさん&シェアハウス。それに退職刑事を足したアイディアが、まずナイス。ほやほや現職刑事・ひよりと、過去の経験を生かしてのおじさんたちの手腕がうまくいってますねえ。そしてひよりの実父失踪事件や、惣一郎の退職理由事件。これきっと、NHKの22時ドラマ枠なんかでやりそうだなあ。サクッと分かりやすいですしね。書き下ろしが半分だったので、次にも期待。
読了日:04月30日 著者:加藤 実秋
https://bookmeter.com/books/12535147
■代理人
この「ビビッ」と着た感じは、横山秀夫さんの短編集を読んだ時に似てる。プロ野球選手上がりの、代理人。代理人って弁護士資格がいるのかー。選手の防臭の何パーセントかをもらうのが仕事。なので選手に色々アドバイス、ときに指導。善場と直之のコンビもいいし、連作短編集一気読み。本城さんはもう私のお気に入り作家リスト入り、決定!
読了日:05月04日 著者:本城 雅人
https://bookmeter.com/books/12378867
■マイ・ディア・ポリスマン
表紙とタイトルから、ほのぼのタッチかと思いきや。地域の安全を守るお巡りさんを軸に、関係者がそれぞれ祖父母の代から「巡り巡って」繋がっていたという面白い設定。「平場師」という言葉、初めて知りました。全員が「勘が鋭い」特性を持っていて、「実は知ってるけど、あなたが言うまでは黙ってる」。そんなちょっとだけサスペンス色が、面白かったです。最後はちょっと???でしたけど。
読了日:05月05日 著者:小路幸也
https://bookmeter.com/books/12076562
■純喫茶トルンカ (徳間文庫)
これはいい作品を引き当てた!。あらすじだけだとライトノベル系かなと思ったら。心がどこか哀しい人に、関連する人が会いに来る。「再会とは、人生における一番身近な奇跡」。なるほどねー。純喫茶トルンカのバイト、店主の娘、常連客。中でも常連客・絢子と、その亡き母の元恋人の逸話が、ほろり来ました。こんな小さな一冊の連作文庫に、感動をもらえたのに感激極まりない。とてもオススメ。
読了日:05月06日 著者:八木沢 里志
https://bookmeter.com/books/7463275
■BAR追分 (ハルキ文庫)
「新宿ねこみち横丁、BAR追分。昼はバールで夜はバー」。プロローグからグッと心つかまれました。「父の手土産」がよかったな。結婚式前夜に父に連れていかれたバーで出された、サンドイッチ。子供の頃に食べた味って、なぜか覚えている。寡黙な父と娘の話、グッときました。「幸せのカレーライス」。私だったらなにをのせようかな。今日はカツの気分だ!。手元にある文庫とイラストが変わっているけど、猫と男性の後ろ姿の方がよかったな。
読了日:05月10日 著者:伊吹 有喜
https://bookmeter.com/books/9804292
■ウォーキングだけで老けない体をつくる
まず字が大きいのが、ハードル低し。内容も分かりやすいです。簡単なストレッチの事もあったりして。これで630円なんていいのか?!。次は50歳から~という惹かれれる同じ著者さんの本を。運動全くしない人(私)の意識改革にいいです。
読了日:05月12日 著者:満尾 正
https://bookmeter.com/books/12412510
■オムライス日和 BAR追分 (ハルキ文庫)
1作目からまたじっくり煮込まれた味わい。料理の描写以上に、バール追分に集ったり円ができた人々の人間模様が、うーん痺れるう。猫のデヴィちゃんのリボンに結ばれたメッセージの話。ありそうだなあ。愛される地域猫で繋がった縁。あと寡黙なバーテンダー純君の素顔が見れた、針治療院での話。ほっこり。あとオムライスにシチューは、いつかやってみたい!
読了日:05月12日 著者:伊吹有喜
https://bookmeter.com/books/10434819
■情熱のナポリタン―BAR追分 (ハルキ文庫)
「人間、お腹がすくと、どうでもいいことに落ち込んだり、腹が立ったりするらしいよ」byモモちゃん。その通り!。3作目では宇藤の進む道が少し明るくなって来たり、小さな子供に頼られたり。徐々に変化しているところがうれしい。自分の原稿を「人の目に触れるために書いている」だなんて、それだけ自信がついた証拠。困った母子に手を差し伸べた会長さんの「俺は何もしていない。全部追分の若い衆の活躍だ」は痺れましたねえ!。第4弾はあるかなあ。私はこれで終わりな気もする。「後どうなったんだろう」って考えさせる終わり方もありかも。
読了日:05月13日 著者:伊吹 有喜
https://bookmeter.com/books/11561612
■【2019年本屋大賞 大賞】そして、バトンは渡された
「私の苗字は、学校を卒業するたびに変わってきた」。3人のお父さんと、2人のお母さん。17年間で家族の形態も変わった。つまりちょっとややこしい。3人目のお父さん「森宮さん」と優子の高校生活を軸に、過去の話を行ったり来たり。最初はちょっと読みにくかったんですが、さすが瀬尾さんですね。段々頭の中でこなれてきて、優子が成長していく様子が読み応えあり。7割以上の「第一章、優子の高校卒業まで」、「第二章、それから」。この二章めがギュッと濃縮されていてグイグイ引っ張られ、ほろり。本を抱きしめました。
読了日:05月15日 著者:瀬尾まいこ
https://bookmeter.com/books/12581382
■零れた明日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)
もうこのシリーズ6作目ですか。早いですね。何となく続けて読んでます。ルーキーだった一之瀬がいつの間にか、後輩春山をペアを組み後輩を指導。妻が出産間近な話と、芸能事務所の社員殺害事件。話の枝葉が広がっていないので、ストーリーがわかりやすかったです。刑事になった一之瀬の、捜査本部での心の葛藤話は、このシリーズらしいかと。最後の打ち上げが意外な顔合わせだったのが、興味深かったです。
読了日:05月17日 著者:堂場 瞬一
https://bookmeter.com/books/12756245
■総力捜査 (新潮文庫)
最初の短編4作は、さっくり読みやすくきりり。5作目がちょっと人が入り乱れて、主語がわかりにくかったけど一気読み。会社でいう総務・人事課№2の柴崎が主人公だけど、新キャラ上河内課長補佐の個性や動きが目立ってたのが、また新しい目線で面白かった。柴崎の部下として左遷された岩城を、柴崎が上手に指導し最後は現場で活躍を見せるのも、いいんじゃないでしょうか。534頁あったけど、スイスイ半日で読めました。
読了日:05月20日 著者:安東 能明
https://bookmeter.com/books/12518904
■ヘイ・ジュード 東京バンドワゴン
「LOVEには、いろんな形があるんだよぉ」by我南人。本当だねえ、いいこと言うよ。賑やかな朝ごはんの風景に始まり、いろいろあって、最後は誰かがサチさんの仏壇の前で話をする。定番の形は読み手に安心を与え、毎年1年ずつ年を重ねていく(番外編除く)のが、自分も堀田家の一員になった気分にさせます。「ヘイ・ジュード」。その意味が分かったとき、ホロリきました。むちゃくちゃLOVEだねえ!。第13弾だけど、今から読んでも遅くないです。是非あなたも堀田家の一員になろう。きっと虜になること間違いない。人物相関図もあるしね。
読了日:05月22日 著者:小路 幸也
https://bookmeter.com/books/12771114
■キネマトグラフィカ
私も平成元年入社組。咲子が「女子初の~」と言われるのに霹靂する場面は同感。そんなバブル時期のいろんな社会事情が懐かしい。古内さんが映画会社で勤務していただけあって、描写がとても細かく。へーの連続。ただ映画館に興味がないと、ちょっと???なところもあったのは致し方ないか。知らない映画の話も多々あったけど、それなりに読み進めました。同期が集まった話から、かつてフイルムを新幹線でリレーする、「あの頃こんなことがあったよねえ」の構成も目新しい。まできれば冒頭に、人物紹介があってもよかったかな。
読了日:05月23日 著者:古内 一絵
https://bookmeter.com/books/12736545
■傍流の記者
今作も読ませますねー、本城さん。またもやビンゴ!な作品。同期の社会部5人組+人事1人。気に入ったのは報道調査班・南雲の「逆転の仮説」。じっくり資料を読んでいたからこそ見つけたスクープ。早いだけがいいんじゃないんだな。そしていつも冷静な人事・北川の「記憶の固執」。社会部の熱い話が続く中、人事ではこうだったという書き方がいい。事件を追う話だけど「社会部」がメインになっているので。血なまぐさい話はないし、むしろ新聞社内の新聞を擦り始めるまでにいかにネタを集め、裏を取るか。ここが読む手が止まりませんでした。拍手!
読了日:05月24日 著者:本城 雅人
https://bookmeter.com/books/12761747
■神様の裏の顔
初読。登場人物がそれぞれに語り部になっているので。最初ちょっと「誰だっけ?」って振り返っていましたが。場面の切り替えしも早く、スイスイというか先が気になって。一気読み。みんなから尊敬される、神様のような教師・坪井誠造の「通夜」という非日常な舞台。お通夜に来る人は、みんな何かしら誠造に関係ある人ばかりだもんね。次々明かされるその裏の顔。からの寝技返し!。「マジカヨ」と斜め上に行く展開にやられました。文章が軽快なタッチだっただけに余計かな。これがデビュー作って、出来過ぎだわ(褒めている)。
読了日:05月28日 著者:藤崎 翔
https://bookmeter.com/books/8278292
■50代からの「老いない体」のつくり方 (単行本)
私もそういう年になったので、参考に借りました。昼ごはんを一番多く食べるねえ。子供の時は「朝を一番に」って習ったけど、年漣と共に食べ方もかわるっていうことかな。630円でこれだけの内容でシンプル。手元に持っていても、いいかも。
読了日:05月29日 著者:満尾 正
https://bookmeter.com/books/11229097
■テーラー伊三郎
タイトルから予想した内容とは180度違う展開。表紙見るとわかるんですけどね。キラキラネームな主人公・アクアマリンと、R指定漫画家の母。そこでアクアマリンが偶然見かけた、テーラー伊三郎の「コルセット」。そりゃあびっくりするよねえ。話が進むにつれて、ズーズーベンの同級生明日香や地元商店街・地域のじっちゃんばっちゃんが入り乱れて、上へ下への大騒ぎぶりが読んでいる方もえらいこっちゃ!。愛すべきキャラたちだけど。元共闘の高野女史の言葉遣いが、ちょっと違う気がするんだなー。男性言葉の命令調。ちょっと残念かな。
読了日:06月06日 著者:川瀬 七緒
https://bookmeter.com/books/12440205
■肉小説集
あとがきに「人間と豚は組織が似ている」とありました。そういえば「このブタ野郎!」(失礼)というフレーズはあるけど、「このウシ野郎」はないなと気付きました。我が家でも一番登場回数が多いのは豚。「このタイトル、なんか変」と思いながらも手に取ったら、そこは坂木ワールド。ショートストーリー風でサクッと読めました。美味しいレシピ集の話では全くないのに、しっかりいいお味。自分の老化を感じる主人公の「肩の荷(+9)」は、とても同感した世代です。どの章も「おあとがよろしいようで」で結びたくなる作品でした。次は鶏だ~。
読了日:06月07日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/8337868
■鶏小説集
前作「肉小説集」より、ちょっとブラックユーモア風の短編集で。感情移入しやすい内容でした。『トリとチキン』は。「俺の母親は揚げ物が嫌いだ」。ドキ。私ですよそれ、だってハルのお母さんと同じく「台所汚れるし、油の始末が面倒」。塾の弁当がコンビニっていうのも、子供はラッキーなのかな。個人的に好きではないので。『丸ごとコンビニエント』はクリスマスイブ~クリスマスまでの、クリスマス用注文品あれこれの話から、あっと驚く「サンタ登場」が、コンビニのバックヤードあるあるって感じで面白かった。あの商品が撃退になるとは(笑)。
読了日:06月11日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/12369324
■泣いたらアカンで通天閣
粘っこいお節介を受け入れ、何らかの献身が求められる、小さくて面倒な世界。絵にかいたような「こてこて」通天閣で広げられる、ラーメン「味よし」を中心にした親子とご近所さん諸々の話。次から次へと起こるちっちゃな騒動に、半ば呆れながらもサクサク読めました。妻を亡くしてからやる気のない「味よし」の店主・ゲンコこと賢悟&OLしながら支える一人娘・センコこと千子。このコンビがナイス。偶然出会った少年スルメとのやり取りも。血がつながっている云々関係なく、「みんな一緒や、ほら食べていき」で丸くなる。厚い人情ものでした。
読了日:06月12日 著者:坂井希久子
https://bookmeter.com/books/5022203
■メガネと放蕩娘
子供の頃は賑わっていた地元の商店街。そういえばいつしか買い物は車で郊外のショッピングセンターへ足が向き。気が付けば商店街とは名ばかり。「大規模小売店舗法」廃止(2000年)によって郊外化が進んだっていう話から始める今作。とても興味深く読み始めました。役所から「活性化補助金」を受けてもPRのパンフで終わり。商店街会長は昔からの主で動きもしない。あるあるー。そこに放蕩娘・ショウコの帰還。「何これ死んでるじゃん。誰も何もどうにかしないの?」から、戦い鐘がなって言四苦八苦&試行錯誤がうなづく連続でした。
読了日:06月17日 著者:山内 マリコ
https://bookmeter.com/books/12369301
■ふたりみち
67歳の元歌手・ゆかりと、12歳の家出娘・縁(ゆかり)。ゆかりが全国ドサ廻り公演のために、函館から「なるべく安い方法で」回る旅。どこもかしこも、ハプニングが起こって公演中止。ギャラがもらえない、と嘆きながらも、いつのまにか”付き人”を自称する縁との珍道中。哀しい生きざまや過去を背負った・ゆかりを、歌手「ミラクル・ローズ」というちょっとだけスポットが当たった時期へ「原点回帰」させていくのが、ちょっとコミカル風な山本節炸裂。持ち歌ではない「愛の賛歌」。いろんな人がいろんな人への愛かも。「アヒルバス」の登場も!
読了日:06月20日 著者:山本 幸久
https://bookmeter.com/books/6535413
■コンビニなしでは生きられない (講談社ノベルス)
初読。これはタイトル勝ちというか、想像した内容と180度違う作品。コンビニの中にはたくさんの種類の商品ように、店員=クルーにもいろんな人がいる。制服を着ているとそれだけで「それなりにしっかりしている人」に見えるけど。酒気が抜けない人・大学中退・子育てママ・学生云々。そこに新人高校生・黒葉が入り、強盗犯・消えた1万円札等事件が次々発生して解決される様は。「あれ、これミステリーなんだね」と思ったら。実は。という、え?え?の意外な展開。サスペンスやん!。正直ちょっと読みにくい。そこが課題かな。メフィスト賞受賞作
読了日:06月24日 著者:秋保 水菓
https://bookmeter.com/books/12734913
■ナミヤ雑貨店の奇蹟
映画化されてもずっと積読でした。自動車泥棒3人組が隠れた場所がナミヤ雑貨店。かつてそこは秘密の悩みを投函すると、答えをくれる店だった。という大筋に、児童養護施設で過ごした子供たちの話が、うまく絡み合ってました。最初繋がていくのかなあ、と半信半疑でした。でも一気に読んだら、脳内で「あ、これあの時の人」って指を何回もパチンとしました。未来にいる泥棒3人組の書いた手紙が、女性相談者の社会的成功を導いたけど、実はこの3人組は女性に関係してたり。そういう「人間はどこかで誰かとつながっている」ことを感じ良作でした。
読了日:06月26日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/4646593
■聖域捜査 (集英社文庫)
警察物というと、花形は「捜査一課」。しかし今作では「警視庁生活安全部・生活安全特捜隊」。生特隊の扱う事件は地味。一目でそれとわかる惨殺死体もなければ、凶悪事案も存在しない。たとえ事件とは呼べない地味な短所でも、その先に思いがけない事態が潜んでる。なので、「犯人確保~!」のような胸のすくような思いはない。だけどじわじわ、自分も傍にいるような身近さを感じます。主人公・結城のヒーロー感はないけど、「およそ事件とは呼べない事案も、見落としはあってはならぬ」な姿勢がいい。一件落着の手前で終わる短編集が、目新しい。
読了日:06月27日 著者:安東 能明
https://bookmeter.com/books/1473547
■境界捜査 (集英社文庫)
「結城シリーズ」2作目。続けて読んだのですが、120%増しの面白さ。新人女性刑事マチ子こと寺町がメインになる描写も多かったのがポイント。初々しい。『空室の訪問者』では、フィリピンからの空輸便に麻薬が入っていた事件。麻薬生安部の担当だったのが、組織編成で組対部へ移管。その辺のくすぶりから、容疑者の一貫否認をどう攻めるのかと思ったら。意外な人物がキーマンだったのには驚き。『崖の葬列』は不法投棄された動物の死骸の話。え?と思ったら地道な捜査で容疑者を割り出したけど、そこからまた事件が見つかっていく様がゾクッ。
読了日:07月01日 著者:安東 能明
https://bookmeter.com/books/4682582
■伏流捜査 (集英社文庫)
生活安全特捜隊・結城班シリーズ第3弾。続けて読んだので、登場人物等にすっと入れました。そういえばこのシリーズ、事件が起きると「交番」へ行って、容疑者の詳細を聞いてくる形なのに気づきました。中編2作。『ヒップキング』は、麻薬&ダンス教室。ダンスクラブの摘発から出てきた麻薬。その容疑者手前の男は、ヒップホップ教室の講師。そこから麻薬をさばいている手下を割り出した、と思ったら。実は想像しなかった運び屋だったのが「ええー」。『稲荷の伝言』は、養老施設での振込詐欺&暴力行為。読み応えあったけど、哀しい結末でした。
読了日:07月01日 著者:安東 能明
https://bookmeter.com/books/6652448
■迷わず働け (小学館文庫)
やっぱり上手くて読ませるなー、山本さん。タイトルだけだと「もっと働け社員!」なワンマン会社の話かと思ったら。
利害関係が一致した「顔がよく似た同級生」とすり替わる話。親のコネで面接もなしに入社するということは、履歴書しか知らないわけで。比べることはないし、もともと押し付けられた新入社員だしね。「潜入捜査官みたい」って言い得て妙。「サラリーマンゲームの始まりじゃ」と主人公・哲司があくどいやり方で仕事を取ってくるのが前半。後半は借金返済もしたのでトンずらしてもいいのに。会社全体が生き生きしているのがすっきり。
読了日:07月03日 著者:山本 甲士
https://bookmeter.com/books/1479419
■逃亡刑事
評判通りの痛快作。身長180cm・化粧っ気ナシ・ショートボブは格闘時に都合がいいからなんて強烈キャラ高頭冴子班長。組の幹部に「あたしの琴線に触れるってのは、大抵がその世界のはみ出し者なんですよ」ときたもんだ。いいねえ。殺害された警察官。その犯人を目撃した少年・猛との凸凹コンビがナイス。冴子が子供が苦手って(笑)。早い段階で犯人を披露してしまうのが、二人の逃走劇のハラハラ感を増しました。罪を被せられた冴子がどうそれを挽回するのか実に興味深い。逃走先大阪での協力者たちとの交流も面白かった。登場人物が脳内で動く
読了日:07月05日 著者:中山 七里
https://bookmeter.com/books/12424280
■ベストタイミングで効果UP!健康お酢ドリンク: 体がよろこぶ「飲み時」は朝と夜
大半が「ミキサーにかけて」作るもので。うちにミキサーはない。そして「果実」を使ったものが多く。血糖値が気になる我が家では、ほとんど作れません。上の「」書きがOKな人にはいいかも。もっと「酢」っぽいのが欲しかったけど。酢がメインだと飲めないわねー。残念。
読了日:07月05日 著者:
https://bookmeter.com/books/6848917
■Team383
”「自動車等の運転はできません」。その文字が自分の戒名に思える”。免許証を返納した男女5人で結成された、ママチャリ「Team383」。合計年齢383才。「車がだめでも、乗れるものはまだある!」。そのママチャリレースの話かと思いきや。それ以外にもそれぞれの登場人物が主人公の短編が続いて。いつの間にか「高齢者が抱える問題」な話に、スーッとスライドしていく所が読みやすかったです。中でも老々介護になって、息子にもチームメイトにも相談できない”センセイ”の話。ギリギリ追い詰められた時のチームメイトの助けがウルっと。
読了日:07月08日 著者:中澤 日菜子
https://bookmeter.com/books/12761400
■今はちょっと、ついてないだけ
「BAR追分」シリーズに魅了された私が偶然手にした今作。またいい作品に出会ってしまった。チョイス上手いなー私。ただの短編集だと思って読んでいたら。あれ、さっきの人次にメインで出てる!な連作短編集で、その匙加減が絶妙。フォトグラファー立花を軸に。左遷された男、元化粧部員、婚約破棄された女、インドアな同級生、かつてのお笑いスター。それぞれにキツイ挫折を味わった者だからこそ、どこか心が少し近くなって仲間になっていく。シェアハウス要素もあって、いつか底辺から這い上がる力強さも感じました。最後が最初につながるのも。
読了日:07月11日 著者:伊吹 有喜
https://bookmeter.com/books/10696338
■ウズタマ
現在2017年と、主人公周平が3歳の頃1993年。この二つの話が交互に進んでいくので。最初はちょっと?だったのですが。3歳の頃の記憶って、どれだけ覚えているかと自分に問えば。ほとんどない。謎の通帳の意味を調べていくうちに、3歳の時の事件に行きつくって、サスペンス風かなと思いながら読むうちに。朧げに思い出すセピア色な思い。「自分は大切にされていたんだ、愛されていたんだ」と周平が気づく所からの思わぬ展開にジーン。大切な人を守るため、自己を犠牲に貫く。温かな絆の大切さも感じました。いいね!
読了日:07月15日 著者:額賀 澪
https://bookmeter.com/books/12454909
■とりあえずウミガメのスープを仕込もう。
もちろんお会いしたことはないけれど。きっと宮下さんは「こつこつ」(「羊と鋼の森」にも出てくる大好きな言葉)、日々を過ごしている方だと思う。買い物は近所のスーパー、魚は行商のおばちゃんから。忙しくても夕食を1時間かけて作る。いい意味ですが地味に日々を過ごしていて、地に足がついている。私は料理が苦手だけど、台所に立つ同じ同志の目線からいくつもうなづく所もありました。注文する鮭の数が、息子が進学したために減って泣けたこと。レシピにはいろんな感想や書き込みが重なって、最強メニューになっていく。食べる事は生きる事。
読了日:07月18日 著者:宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/12842472
■if: サヨナラが言えない理由
拾った聴診器で末期患者の心の声が聞けて、患者が「戻ってやり直したい過去」へ一緒にタイムスリップする。この設定がまずナイス。今でさえ「あの時こうしていれば」って思うもの。dream、family、marriage、friend。人生の大切な思い出要素が付けられたタイトル。医師・ルミ子を軸に、いろんな患者さんの思いがこちらにも伝わって来ました。なかでも「family」では、住宅ローンを抱え家庭を顧みず仕事に明け暮れるサラリーマン。「もっと子供と遊べばよかった」と、脳内で過去に帰ってやり直すのが印象的でした。
読了日:07月20日 著者:垣谷 美雨
https://bookmeter.com/books/8343398
■食堂メッシタ
「食堂のおばちゃん」シリーズの山口さんの書き下ろし。となったら期待も高まりました。一人で切り盛りする「メシッタ」の移転による閉店をきいて、「メシッタと店主の物語の記録を残しておきたい」と、客の笙子が店主・満希に話を聞いて行く。そんな満希の料理との出会い・修行・自分の店を開店。そんなサクセスストーリーと、閉店へ向けてのカウントダウンの話。交互に進む割には、わかりやすかった。私は料理が苦手なので「料理人」さんはそれだけで尊敬。ただ。イタリア料理の専門用語が多くて、料理描写が入り込めなかった。残念。
読了日:07月22日 著者:山口恵以子
https://bookmeter.com/books/12807355
■おちゃめに100歳! 寂聴さん
寂聴さんは私の祖母とほぼ同じ年で、地元短大の学長もされていたので。親しみはあったのですが、著書を読んだことがありませんでした。大反省です。今作では秘書・まなほさんと寂聴さんの、24時間一緒ならではの「ほっこりエピソード」や。人生の先輩として、まなほさんへ寂聴さんがいろんな話をする所。そして「寂聴初心者」だったまなほさんから見た、寂聴さんの老いてなお生きる姿・説法の話も盛り込まれていて。ある意味「瀬戸内寂聴・入門書」にもなっているのがいい。これを機会に、ちょっと説法の本でも読んでみようかな。
読了日:07月24日 著者:瀬尾まなほ
https://bookmeter.com/books/12453729
■鉄の骨 (講談社文庫)
「半沢(オレ達花のバブル」)と「空飛ぶタイヤ」の中間作品。646頁の分厚さなんか気にならない、ノンストップストーリー。①ゼネコン談合話②大物議員の違法献金捜査③銀行融資④主人公・平太と彼女・萌⑤平太の家族の話。とまあ盛沢山なのに、頭の中で人物がよく動きます。①談合の話は、現場監督の平太が人事異動で業務課(談合課と揶揄される)に着任するスタートなので。このメインとなる①の話が、平太目線で読んでいくのでわかりやすい。「脱・談合」と言いつつも水面下では、ゼネコンの利益のため進んでいたり。最後まで手が止まりません
読了日:07月26日 著者:池井戸 潤
https://bookmeter.com/books/4322864
■三人屋
設定は面白い。そこに惹かれたのですが、「食べ物要素」は少なかったのが肩透かし。「亡き父のレコード」の話も結局本物だったの?。最後まで読んだけど、特に感想がありませんでした。残念。
読了日:07月28日 著者:原田 ひ香
https://bookmeter.com/books/9757096
■銀幕の神々
山本さんの少年物って初めて読むような。商店街のただ券で観た「人生劇場 飛車角」。そこで見た高倉健さんに大きな影響を受けた主人公・修の成長物語が、男の子ってこういう生き物なのかととても興味深いです。憧れるだけだと、「任侠の世界」に行ってしまいそうなのを。いとこの弥生に勉強を教わったり、酒屋店に来る露天商・中間のおっちゃんに、男の生き方を教わったり。曲がりそうな道を正してくれる人とのエピソードがいい。任侠映画、学生紛争といった実際の時代背景が織り込まれているので、「ほほう」と読めました。こういう少年物もいい
読了日:08月01日 著者:山本 甲士
https://bookmeter.com/books/9168680
■夜廻り猫(4) (ワイドKC)
待ちに待った4巻目。本屋さん等で注文はあえてせず。わざわざ探して購入。だって平蔵たちは町のどこかで、ひっそり夜廻りしているんだもの。「猫」とタイトルはついているけど、メインは心で涙している人間たち。それぞれの人間模様にそっと寄り添う「夜廻り」猫たち。辛い日々を過ごしているのは、私だけじゃない。そうだよね、平蔵。見開きの猫たちのイラストが、実に味わい深いのも。作者さんの愛情いっぱいが感じました。
読了日:08月05日 著者:深谷 かほる
https://bookmeter.com/books/12918539
■給食のおにいさん (幻冬舎文庫)
「給食は、一に安全、二に栄養、カロリー、塩分、予算。味はその次です」。料理の世界で10年やってきた自信はいずこへ。小学生の生態すら初体験。そんな新人臨時調理員・佐々目のお仕事物語って感じかな。表紙からもっと甘いテイストを感じたけど、いい意味で違う。家庭科・栄養士・そして佐々目も揃って男性という設定も面白い。給食の「残存率」という言葉も初めて知りました。そんな今時「給食」の話も織り込みながら、生徒との交流の書かれていて。人気もうなづけます。さあ2巻目よもう!
読了日:08月07日 著者:遠藤 彩見
https://bookmeter.com/books/7429017
■給食のおにいさん 進級 (幻冬舎文庫)
1作目で仕事のつなぎ的気持ちで始めた「給食のおにいさん」のお仕事。だけど子供たちと給食とのかかわりを知り・経験していく中で。主人公佐々目の成長ぶりが今作でも見れました。「子供相手」だからこそ、ストーレートな感想や感情の現し方を受け止めるには、大人だって真剣にならないと。「給食はクラスの人間関係の縮図」。禿同!。机を並べて食べるだけなんだけどね。ハブられてたりするときついんだわ。「人も食材と同じでアクが出る」。なるほど!。今作も給食の話と職員・生徒・親の人間模様が、うまくこねられてました。
読了日:08月09日 著者:遠藤 彩見
https://bookmeter.com/books/8013105
■給食のおにいさん 卒業 (幻冬舎文庫)
3作目も濃い内容でした。「子供の生活習慣病」。朝起きれなくて遅刻したり、明らかなウエイトオーバー。それを正しい道に戻すために「三角食べ」を「給食週間」で教える話。栄養士・毛利の奮闘ぶりが、ナイス。今回は毛利も佐々目も、マトリョーシカ(給食のおばちゃんズ)も悩み一歩踏み出していく所が、お仕事物色が濃くなって人間模様を彩ってます。で、「給食費未納問題」。自分の小学生の時は、どうだったんだろう?。今回出てくる親は、車は外車に乗ってるくせに4月からもう1年近く未納。二人分。で、この最後さー、次が気になりすぎます!
読了日:08月09日 著者:遠藤 彩見
https://bookmeter.com/books/8203767
■国会議員基礎テスト
そういえば試験ないよね、「先生」と呼ばれる議員さんたち。この発想がナイス。当選に必要とされる「ジバン」(地盤)・「カンバン」(看板=知名度)・「カバン」(鞄=金)。そんな選挙用語や選挙の話が大半。支持政党もなく、政治はニュース程度しか知らない私でも十分読み応えありました。「ボンボン議員なんてだめだなー」と思って最初は読んでました。秘書・橋本を始め、なんだか誰が「おぬしも悪よのお~」なのか興味津々。TVやSNSでの選挙合戦だったり、選挙投票が18歳になったことで若年層をいかに取り組むか。読了後は選挙に行こう
読了日:08月14日 著者:黒野 伸一
https://bookmeter.com/books/12625804
■ロング・ロング・ホリディ
「僕の自伝と言ってもいい、設定はノンフィクションで、内容はフィクション」。喫茶店なのに山ほど食事のメニューがあるお店をメインに、バイト仲間・馴染みの客・そして家族の話。学生時代のアルバイトって、社会に出る前の登竜門かも。「世間にはいろんな人がいることが分かっただけでも甲斐がある」主人公・コウヘイの言葉に納得。小路さん作品には珍しい男と女の関係話も出ていて。ビターテイストも感じました。喫茶店にもバイトにも縁がなかった私。私の欠けているパズルがこの作品にあったかな。コウヘイの姉がグッジョブでした。
読了日:08月15日 著者:小路 幸也
https://bookmeter.com/books/10134542
■5人のジュンコ
「淳子・絢子・詢子・順子・純子」。自分と同じ名前の人ってどこか親近感がある。だけどこの5人は違う。いやー、最初の「醜女」純子のキャラが強烈すぎ!。1人で結界作っているアンタッチャブル・キャラ。その描写が脳内に出来上がる巧みさ。連続短編小説で、それぞれのジュンコ関係者が繋がって登場しています。どの章も「ひえーー」の連続でしたが。社宅団地内の主婦ヒエラルキーの話や、土地代で生活する資産家の話が印象的でした。途中ジュンコが殺人で逮捕される話は話が急に転回してびっくりするなど、行きつく間がない一気読みでした。
読了日:08月17日 著者:真梨 幸子
https://bookmeter.com/books/8969266
■ランチ酒
とても不思議な構成の作品。「都会に咲くあだ花」な見守り屋の仕事&祥子のプライベート話&ちょっぴり仕事が終わった後の一杯&食事。それぞれの内容がいい感じでMIXされている。私はあの「酔っぱらった感覚」が苦手で、酒は意識的に飲まないのですが。「一杯飲んで忘れよう、そして明日に向かおう」な祥子の悲しさ・虚しさは、少しわかる気がする。そして酒の銘柄云々はあまりかかれず、オムライスや牛タンなどの食事の描写が、おいしそうでした。新幹線での「ビールプシュー&崎陽軒」はやってみたい。祥子の別れた娘への思いは切なかった。
読了日:08月19日 著者:原田ひ香
https://bookmeter.com/books/12438984
■スイート・ホーム
一言。「ヤラレター」。236頁と少な目だけど、実に温かい家族や周囲の思いが胸に来て。何度も涙腺崩壊。こんな気持ち久しぶり。短編集だけどそれぞれが進行形で話が進んでいく様は、何段にも重なったウエディングケーキみたい。パティシエの父がお客さんに深々とお礼をするのを見て育った姉が、勤務先で同じようにお礼をする冒頭。「これはいい作品に違いない」と確信。全編関西弁なのが「まあ、どうにかなるんとちゃう?」って感じでいい。姉妹の結婚話のくだりも女子的に共感&感激。「スイート」には、甘いの他に気持ちの良い・楽しいの意味も
読了日:08月23日 著者:原田 マハ
https://bookmeter.com/books/12663923
■夏空白花
楽しみにしていた須賀さんの高校野球物。今回は戦争で中断した甲子園大会の再開までの、元野球選手で新聞記者・神住をメインとした朝日新聞等の試行錯誤の道のり。なので、試合の場面は最後40頁ほどとあっさりしてますが。戦時中の話、戦後敗戦国が、いかに暮らしてきたのか。須賀さんの別作品でも「沢村栄治」さんが出てましたが、2度も召集されて最後は帰らぬ人になった箇所は実に残念。大会をやろうにも選手がいない、道具もない、場所もない。「戦後の象徴となるる、大きな儀式」のために。「絆をもう一度野球で繋ぐ」。そんなラストがナイス
読了日:08月28日 著者:須賀 しのぶ
https://bookmeter.com/books/12918586
■給食のおにいさん 受験 (幻冬舎文庫)
私立中学って、給食ないのね。「ホテルの食事を給食に」。そこの着眼点はよかったんだけど。どうも女子中学生と佐佐目たちの交流が少ないし。頭に入ってこなかったです。「人選サンドイッチ」の終盤あたりからは読めたんですが。残念。
読了日:09月03日 著者:遠藤 彩見
https://bookmeter.com/books/9807540
■給食のおにいさん 浪人 (幻冬舎文庫)
「給食の話」から、私立女子中学内の生徒の問題の方が重きを置かれて。また消化しきれなかった。「フードバンク」の話もいいけど、給食との話は繋ぎにくかったし。個人的には「卒業」の第3巻で終わってもよかった気がします。
読了日:09月03日 著者:遠藤 彩見
https://bookmeter.com/books/11182422
■返事はいらない (新潮文庫)
宮部さん作品は、ほとんど読んだことがなかったけど。ブロ友さんの感想をみて面白そうだなと。6つの短編集それぞれきりっとまとまってました。初版1991年・バブルな頃がそれぞれ舞台。「返事はいらない」では、恋人に振られてマンションにから飛び降りようとした主人公。そこには先客の老夫婦がいて、意気投合して元カレに復讐しようと計画を練っていくのが、ちょっとドキドキ。警察の動きも絡んでいくのが面白かった。「ドルネシアにようこそ」では、駅の伝言板が話の始まりをうまく引き出し。主人公がの仕事が速記士というのも、作者の元職だ
読了日:09月04日 著者:宮部 みゆき
https://bookmeter.com/books/578532
■あなたのゼイ肉、落とします
「体重が、また増えた。こんなに頑張っているのに、なぜ痩せない?。これ以上、どうやってダイエットしろっていうの」。そうなんですよー!と私の心を代弁している始まりから、心つかまれました。ダイエット本の著者・小萬里もぽっちゃり系。「わたくしは痩せたいとは思ってないんです」?!。ワーママ49歳&女子大生18歳の女子の話は、わりと納得できました。家事に仕事に忙しいとダイエットなんてできない。10代の欝々感も。事故で1年半前の記憶をなくした32歳男性の話は、ちょっとミステリーっぽくてよかった。小学5年生10歳もナイス
読了日:09月05日 著者:垣谷 美雨
https://bookmeter.com/books/11182486
■刑事の血筋
久しぶりの警察小説。亡父・敬一郎が「志道会とつながりのある女性と懇ろになり、捜査情報を横流ししている」噂を立てられ、その中で倒れ急逝してしまった事件。警察庁のキャリア兄・剣と、地元ノンキャリ弟・守が、仲たがいしていた過去を乗り越え協力して調べていく。それぞれのアプローチが新鮮。子供時代の「警察官舎」の話は24時間体制だけに、私だったら嫌だなあ。「警察官の妻・母」な女性陣の懐の深さもいい。「自らの存在を売る人々」。”戸籍がなければ、何もできない”な話が父の事件につながっていくのも、目新しかったです。
読了日:09月09日 著者:三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/12591506
■君たちに明日はない
初版2005年。ひと昔前感はあるけれど、人員削減のためその「クビキリ」を、委託会社に資料作成&面接させる。この設定が面白い。「会社の都合であって、私の都合ではない!」そう訴える対象者の心の声。そうだよね~。建材メーカー・玩具メーカー・都銀・自動車メーカー・音楽プロダクション。短編集かと思いきや、主人公の面接官・真介と最初の建材メーカーのバリキャリ総合職・陽子がいい仲になっちゃうのって、どうよ(苦笑)。二人の仲の話をバックに、いろんな業種の人々の悲喜こもごも。仕事ってなんだ?と考えさせられる話でした。
読了日:09月11日 著者:垣根 涼介
https://bookmeter.com/books/562763
■三谷幸喜のありふれた生活15 おいしい時間
「しばらくこのシリーズ読んでないな」と思ったら、パート13まで読んでました。13が仕事一色でちょっと面白くなかったのです。このシリーズの面白いときは、巻末に載っている「お仕事一覧」に余裕がある時。NHK「真田丸」と舞台が3本(十分多いけど)。「真田丸」を見ていた方なら、「ナレ死」や「史実と違うのでは?」の説明も出て来たりして。ドラマは観てなくてもへーって。「面白い物語を作るためには、面白い物語に囲まれて過ごすのが一番」。名言だ!。子供のころから見たり聞いたりしてきた層が重なって。三谷さんの脚本はできている
読了日:09月14日 著者:三谷幸喜
https://bookmeter.com/books/13011513
■いくつになっても自分で歩ける! 図解「筋トレ」ウォーキング
「3分早めに歩いて、3分普通に歩く」。ただ歩くだけでも違うのね。薄い本なので、効率的にウオーキングしたい人向け。
読了日:09月15日 著者:能㔟 博
https://bookmeter.com/books/9918293
■タスキメシ
タイトルから「駅伝物だろう」と読み始めました。箱根駅伝の冒頭シーンから、いきなりサブタイトルが「アスパラと里芋と豚肉の照り焼き炒め」。??。と分からなくなりつつ読んで行くとわかった。早馬・春馬の長距離ランナー兄弟を軸に、メインとなる高校時代と大学の話。これが入り混じってるんだ。走るためにはしっかり食べないといけない。だけど超偏食の春馬を応援するために、早馬が料理をする。料理を教える同級生・都や、都を穏やかに見守る陸上部の助川。それぞれが襷をつなぐようにリレーしている様がナイス。故障したらオシマイじゃない。
読了日:09月16日 著者:額賀 澪
https://bookmeter.com/books/9964992
■歪んだ波紋
微妙につながっている連作短編集。登場人物が多いので、何回も前に戻って「この登場人物、さっきも出てたな」の作業が途中から面倒くさくなり、一気に読みました。『共犯者』ではすでに新聞社を退職した男が主人公。元同僚が自殺し、遺品の中のたくさんの記者時代の資料の処分を頼まれるうちに、その自殺理由を探っていくのが興味深い。記者魂未だ消えず。『ゼロの影』は結婚退職した元女性記者。今の職場で盗撮事件があり逮捕された男。でも報道されない。娘の保育園に男の子供も行っていることを知り、調べ始めていく所がこちらも記者魂。
読了日:09月19日 著者:塩田 武士
https://bookmeter.com/books/13051159
■波の上のキネマ
初読。私の地元の映画館が先日99年の歴史を閉じました。そんなときに偶然手にしたこの作品。各章のタイトルに名作の映画タイトルがついていて、それがどれも観てない名作ものばかりだったのでちょっと不安でしたが大丈夫でした。最初は館主・俊介が映画館を閉館するかどうかや、子供の頃の映写技師のおっちゃんとの話だったのに。「波の上のキネマ」の歴史を掘り起こしておかないと、と創業者・祖父の話になっていく所は正直戸惑ったけど。祖父・俊英が働きに出た西表島での過酷な労働の中から、「映画は人を元気づける」と気付くまでが長かった。
読了日:09月20日 著者:増山 実
https://bookmeter.com/books/13054097
■君はレフティ
事故によって「全生活史健忘(自分に関する記憶を失う)」になった古谷野真樹と、クラスメイトで同じ新聞部の生駒桂祐&春日まどか。この3人を軸に学校祭前後の話を舞台に進む話。「7.6」と書かれたいたずら書きやツイッター乗っ取り。何の意味なんだろう?。古谷野の周りに起こる出来事も、そのきっかけは事故にあう前の出来事。最初は意味がないように見えていたこの数字が、終盤になってそういう事か!と2回転レシーブするくらいの意外性。3人のつながりもそういう事?!。どうりで「ラストは決して人に言わないでください」ですな。
読了日:09月22日 著者:額賀 澪
https://bookmeter.com/books/11206639
■婚活食堂
この表紙、大正解。食べたくなるというか読みたくなる店の雰囲気がとても出てる。若いころから「見える」能力を持った恵が人気占い師となり、家族を持ったけど死別し、かつての師匠の知人・真行寺の援助でおでん屋を開く。この最初のくだりで読者は恵に感情移入できます。カウンター10席の小さな店に通う若い女性や、その親世代の女性達の「婚活話」っというのが、タイトルと想像していたのと違って面白い。婚活・交際相手を店に連れてくると、恵にはその相手の「黒い色」などが見えたりするのは、「占い話」好きな女性には興味がでそう。
読了日:09月27日 著者:山口 恵以子
https://bookmeter.com/books/12835980
■糖質オフだから毎日食べてもふとらないお菓子 (食べてすこやかシリーズ)
図書館本。お菓子って「オーブン」がないと作れないことに後で気づく。おからのパンケーキとか、オーブンなしで作れるのは少しでした。それとラカントSを使ってるけど、あれめちゃ高いんですよ値段が。なので。私のようなオーブンがなくて安く作りたい人には、使えるレシピはほぼないです。
読了日:09月28日 著者:石澤 清美
https://bookmeter.com/books/9864969
■映画にまつわるXについて2
wowow・W座で、『永い言い訳の制作過程での、監督と本木さんとのメールが興味深かった』とあったので読んでみた。なるほどこれは『永い言い訳』を観てからよむと、ほほうと。自分の愛犬の死が映画を作るきっかけになったり、どうやって構想を練ったか。映画には時間の制約があるから、まず小説にしてみよう(直木賞候補作になる)とか。日々成長する子役を決める難しさの所は、未知数な部分だからこそ、あの映画では重要なポイントだったなあと。是枝監督に拾ってもらったエピソードから師弟関係になっていくのも、興味深かったです。
読了日:09月30日 著者:西川 美和
https://bookmeter.com/books/11705404
■ふたりの花見弁当 食堂のおばちゃん(4) (ハルキ文庫 や 11-5)
それぞれ夫を亡くした「嫁と姑」だけど心情的には実の母子に近く、ともにはじめ食堂を営んできた戦友であり同志。そんな一子と二三(ふみ)。今作はバイトの万里が成長している様が頼もしい。定番メニューだけでなく3人や常連さんも巻き込んで、新しいメニューが誕生するっていいなあ。今回はちょっとミステリっぽいところも。「福豆の行方」では、常連・メイ(ニューハーフで万里の同級生)の「恋人」が寿司を食べる場面。寿司職人なのに「ヅケに醤油つけてた」と見つけた万里の洞察力など。各編にちょっと工夫もありました。一子も85歳かあ。
読了日:10月03日 著者:山口恵以子
https://bookmeter.com/books/13050248
■甲子園、連れていきます!: 横浜高校野球部 食堂物語
ラジオでたまたま耳にして読みました。父が前横浜高校野球部渡辺監督。最初は家に生徒を住まわせていたのが、だんだん規模が大きくなり、そのたびに家を引っ越し。そして合宿所(寮)になり、母が寮母をしていたのを著者である娘が引き継いだ話。寮に入れるのは20名。毎日100枚の食器を洗い、一日40合の米を研ぐ日々ーーひえー。安全・安心好き嫌いなく食べれるよう献立を考える。凄いよね。住み込みではないけれど、親元を離れた選手たちの「母」として見守り相談にも乗る。愛甲さん。松坂さん、筒香さんのエピソードも寮母ならでは。サクッ
読了日:10月04日 著者:渡辺 元美
https://bookmeter.com/books/12927914
■あなたの人生、片づけます
我が家の一室も、「とりあえずあの部屋へ・・・」と”片付けた”つもりがただ場所を移しただけ。精神的にも余裕がなくて片付けられなかったんだなあ。一心不乱に片付けた1か月を思い出しました。心の乱れや余裕がないと、片付ける気力もないよね。中でも「連れ合いに先立たれた老人」の話は、田舎あるある。表面上はきれい、だけど押し入れには「いつか使う」「孫が来た時に」「高かった」物が山積み。気持ちはわかる、だけどその「いつか」は多分来ない。十萬里が老人の家族と連携して、それを気付かせていくのがナイス。この本幅広く読んでほしい
読了日:10月06日 著者:垣谷 美雨
https://bookmeter.com/books/7536329
■路地裏ビルヂング
路地裏の辻堂ビルヂングに入居している、各階の異業種交流・お仕事物語。無認可保育園・学習塾・不動産分室(苦情受付)・健康食品販売・デザイン事務所。どれもビルと同じで仕事が時代おくれっぽいところが、トホホで親しみが出ました。中でも無認可保育所で働く資格のない50代半ばのおばさんの話。24時間営業の保育所、大変だけど段々やりがいを感じていたところに、結婚する息子からの同居話に揺れるのは。嬉しいようなどうしようかなって感じかな。ビルに空き巣が入ったことで、自警団ができたあたりからまとまっていくのも楽しかった。
読了日:10月08日 著者:三羽 省吾
https://bookmeter.com/books/614924
■素敵な日本人 東野圭吾短編集
2011年~2015年に書かれた9つの短編を集めた作品。なのでそれぞれ短いのですが。チョコレートを一粒食べた時に、アーモンドが入っているのを知らずに食べて驚く。そんなカリッとした結末がちりばめられてました。
読了日:10月08日 著者:東野 圭吾
https://bookmeter.com/books/11615450
■バスを待つ男
旅と言っても東京都のシルバーパスが使える範囲。限られた中で昔の事件を思い出したり、そのうち偶然悩みを解決してあげた男性・元刑事も加わって。旅は道連れ的に進んでいく短編集が、実にいい。TVでも「バス旅」番組多いですよね。私は地方住まいなので、地名とかは知らないけど。青梅や錦糸町、鬼子母神など何となく聞いたことのある地名もでてくるので、わからないなりに妄想して読んでました。各章で謎解きが出てきて解決するのだけど、実はワトソンよろしく妻が答えを導いているのもいい。のんきに読み進めていたら終章でやられました。
読了日:10月12日 著者:西村健
https://bookmeter.com/books/11498167
■うどんの時間
初読。タイトルと表紙から、最近流行の「食べ物小説」かと思いきや。10年前にミュージシャンを夢見て、実家のうどん屋を飛び出した主人公が。弟が遺した「お散歩案内カセットテープ」で地元を見つめ返し。町内会の夏祭りイベント「プロレス」騒動で青年会仲間に打ち解け。最後、これからどうするのか。以上の3章からなっているのが、あっさりわかりやすく。サクッと2時間ちょっとで読了。印象的だったのはやはり事故死した弟が、偶然遺したカセットテープの案内で弟ゆかりの人や場所を訪ねていくのが新鮮でした。このアイディア、ナイス。
読了日:10月16日 著者:山下 貴光
https://bookmeter.com/books/8067714
■生きるぼくら
「どこかへ行きます。家賃とネット料金は振込ます」。母ちゃんが永遠に俺の面倒を見てくれると思い込んでいて、ネットの中で世界を知っていた気でいた24歳の”人生”。ここ、私も胸に手を当てて反省しました。仮想社会と現実は全く違う。祖母の年賀状を頼りに尋ねてみたら、祖母は認知症の中でも「退陣に限って記憶障害が顕著」。途中アクシデントで人生の携帯が水没って・・・。でもこれが人生にいい刺激を与えたのでしょう。祖母とつぼみ、二人から頼られるようになって。「やらなあかん」と少しずつ動き始めていくのがいい。介護の話や稲作話も
読了日:10月22日 著者:原田マハ
https://bookmeter.com/books/5428528
■猫のお告げは樹の下で
初読。タラヨウの樹の下で、猫の「ミクジ」が、グルグルっと回って幹に猫キック。落ちてきた一葉にはその人にしか読めない「文字」が書いてある。猫の出番はここまでで。落葉を手にした人々は「??」と思いながらも、日々の悩み事とともに暮らしていくささやかな話達が、とても親しみがありました。デジタルチケットのため、娘とアイドルのコンサートに行くことになった父親。年頃の娘と父親のやり取りが、どちらの気持ちもわかるから、ほんわか来ました。どの章も、優しい気持ちになれました。落葉に季節のいまに、ぴったりかも。
読了日:10月25日 著者:青山 美智子
https://bookmeter.com/books/13082518
■友を待つ
①10年前週刊誌記者を辞めた容疑者②同時に辞めた今は家具職人の男③現職週刊誌記者達④容疑者を取り調べるシングルマザー刑事⑤警察官僚とその周辺⑥①の同級生だった留学生。登場人物を列挙するとこんな感じ。ちょっと風呂敷広すぎたかなと思いながらも、先が気になって仕方ない。①への取り調べと、②が元同僚①の事件を調べ、③も同じく調べ出すの話が。薄暗い中から真実を見つけ出していく過程が、折り重なっていく所が面白い。終盤①の逮捕容疑の「隠された」事実がわかるまで、長かったー。④の一言居士な女性刑事キャラが好きです。
読了日:10月29日 著者:本城 雅人
https://bookmeter.com/books/12916202
■俺たちの「戦力外通告」
「ほとんどのプロ野球選手は、試合に出られない体験をしていない。逆を言うと、試合に出続けたからこそプロになれた」。華やかは世界だけど、いつかは来る選手引退。野球はポジションにもよるけど、社会人なら脂がのった40歳まで、現役でいられる選手はほぼない。そしてその後野球にかかわり続けられる人も限られている。今作に出てくるほとんどの選手が「怪我」を乗り越えられなかったのが大きかったです。引退後どうしてるかも多く書かれていて。「プロ選手のセカンドキャリアをサポートしたい。現役時代に資産形成し、その後を支えたい」ナイス
読了日:10月30日 著者:高森 勇旗
https://bookmeter.com/books/12500964
■はじめまして、お父さん。 (双葉文庫)
「私はもうリタイヤしてバハマに渡る。その前に謝りたい人が4人いるので付いてきてほしい」。と、初めて会う自分の父・合馬に頼まれて、同行取材をする力也。山本さん得意の「巻き込まれ型主人公」ですな。かつてのTVスターだったパワフルな父と、ちまちま原稿を書いているお腹下しやすい弱っぽい力也の珍道中が面白い。①元女子マネージャー②力也の腹違いの弟③合馬の会社の元社員④小学校の同級生。この4か所を一緒に巡る中で。今までそれぞれ互いの空白の時間を、埋め合わせていくのに密着している力也。力也もまた合馬との時間を埋めてます
読了日:11月03日 著者:山本 甲士
https://bookmeter.com/books/12688051
■母のあしおと
1人の女性の一生を描くのに。逆から書くっていうのが、新鮮でした。各章とも道子の関係する人たちが、メインの人物なのも。道子から見た関係で書くと。①夫 ②次男 ③長男の婚約者 ④長男 ⑤夫の従姉 ⑥道子本人 ⑦母 と順に過去に戻っていきます。ややこしそうだけど、少しずつ「あ、道子のあの場面は、ここから出てきたんだな」という風になってました。でも⑥以外は道子は脇役。大事件があるわけではないけれど。誰にでも歩んだ歴史があって、いろんな人と関係している。もっと「亡き母を偲ぶ」かなと思ったけど。サラッとしてました。
読了日:11月04日 著者:神田 茜
https://bookmeter.com/books/13056493
■驚くほどおいしい 電子レンジ料理100
レンチンで簡単。だけどいろんな調味料が必要だったりして、役に立ちそうなのは5つくらいでした。料理本ってつい買っちゃうけど。図書館で借りて、ピックアップすればいいのに気が付きました。これからそうしよう。
読了日:11月05日 著者:上島 亜紀
https://bookmeter.com/books/12015485
■切れない糸 (創元推理文庫)
「クリーニング屋に持ち込まれるものは、個人情報が詰まってる」。商品の素材でその家の財政事情や、仕事がわかったる。なるほどねー。父の急逝で実家のクリーニング店を「いやいや」手伝うことになった主人公・和也。母や、アイロン職人のシゲさん、受付パートの「松竹梅」おばちゃんズ。みんな和也を小さいころから見守ってきた家族みたいなもの。クリーニングの御用聞き&配達をする中で、いろんな人に出会い。同級生・沢田とちょっとした事件を解決したりなど。日々和也が成長していく話が、「若者っていいなあ」と思いました。坂木さんらしい。
読了日:11月10日 著者:坂木 司
https://bookmeter.com/books/579009
■レンチン! 糖質オフ! やせるマグごはん
マグカップの中に入れてチン。簡単すぎる。「つくりおき派」にはむいていないけど、家での昼食とか、あと一品どうしようっていう時に最適かな。
読了日:11月13日 著者:新谷 友里江
https://bookmeter.com/books/11780230
■「だけ」レシピ
家にある食材で作ってあるし、炒める「だけ」とか手間暇かからず作れるので。色々やってみたい。料理が苦手な人ほど、おすすめ。
読了日:11月13日 著者:市瀬 悦子
https://bookmeter.com/books/13133870
■快晴フライング
中学校の水泳部が、弱小すぎて同好会に「降格」されるって。ヤバイヨヤバイヨ!な部活話がメイン。水ちゅう歩行しかできなかったり、アニメ研究会と兼部してたりする部員以上に、「学校にプールがない」。ええ?!。そこに現れた、主人公と同じクラスの謎めいた美少女が加入することで、話が盛り上がってきたと思ったら。ラスボス(なんて言ったら失礼ですね)のシャールさん登場!。この作品が最初だったのです。そこで気づく。水泳部の顧問は柳田。あ!。なので「マカン・マラン」シリーズのエピソード0でもありました。仲間っていいね。
読了日:11月13日 著者:古内 一絵
https://bookmeter.com/books/3060574
■スーツアクター探偵の事件簿
撮影中のアクシデントで閉所恐怖症になり、怪獣スーツに入れなくなった椛島。偶然出会って椛島に代役を頼まれた太田。この二人を巡る映画だったり、ショーだったりの事件が起こるため。これはバディものかと思いきや。まず太田の「物欲も性欲もない」緩いキャラがオフビート。そしていつかはスーツアクターに戻りたいと、思いながらもままならない椛島の焦りが、印象的でした。怪獣映画。今はCGの時代にあえてこの題材。昔の円谷作品を彷彿させるけど、今の人はピンとこないかも。太田は竹原ピストルさん、豆減監督はスタン・リーさんを当て読み。
読了日:11月17日 著者:大倉 崇裕
https://bookmeter.com/books/11024671
■心配しないで、モンスター
のっけから「ついに、ばあさんデビュー」ときて、ツボを押されました。生まれた時からばあさんじゃない、少女・女時代を過ぎてばあさん色がにじみ出てきた。老眼の目でも明らかなくらいって、なんだかわかりすぎる私。こんな感じで、読み手が「これ私かも」と思わせる主人公が揃ってます。その話に絡んでくるのが、各章にまつわる曲というのも面白い。八代亜紀さんの「舟唄」は、歌詞をうまく引用して不倫女子を諭すサブキャラもいました。曲を知らなくても、楽しめる内容でした。ま、人生いろいろだものね。若さを保つのは「求めること」なんだな。
読了日:11月22日 著者:平 安寿子
https://bookmeter.com/books/6417275
■クランクイン
映画館を題材にした小説はいくつも読んだけど、撮影クランクインになるまでの話って、そういえばなかったかも。それに作者の相場さん、「ナンバー」等難しい警察物を書くイメージでしたが作風がらっと変えてきましたね。主人公根本が、ベストセラーの映画化の命を受けたはいいけど。「手のかかる作者№1」な作者への交渉に始まり、億単位の資金や監督等スタッフ集めなどなど。いつもは映画を見る側なので、「こんなにも大変なんだなあ」と。いろんな人が肩を組んで作っていく様が面白かったです。いくつも挿入されている作品もツボでした。
読了日:11月23日 著者:相場 英雄
https://bookmeter.com/books/11221796
■時代
「平成を駆け抜けた記者」笠間と、息子二人の話。最初は連載で、途中から書き下ろしになっていたのは。「平成最後」に滑り込みセーフかしら?。スポーツ紙を舞台に、親子3人が記者・即販・整理それぞれの仕事をしていく姿。特に父を10代で亡くした息子二人の「記者魂」が出来上がる過程が、とても新鮮で読み応えありました。取材先どこへ行っても「あの笠間の息子か?」と聞かれ、温かい目を見けられるのは。いかに父が優秀な記者だったのか「亡き父の姿」を知ることでしょう。野球に焦点があったのもわかりやすい。父の同期・伊場のキャラ強烈!
読了日:11月25日 著者:本城 雅人
https://bookmeter.com/books/13162007
■ラストライン (文春文庫)
まず主人公岩倉の設定に共感。私と同じ50歳、定年まであと10年。何度も移動してるけど、いつも新しい職場では緊張する。禿同!。後輩が上司、あるある。交番あがりの新人女性刑事とコンビを組まされる所は、ベテランあるある。「二つの事件は何か関連性を感じる」とカンで動き始める岩倉が、いろんな方面を見渡し過去の事件の記憶をたどっていく様も、サクッと読めて面白い。最初岩倉の行動にちょっと疑問があったけど、抜群の記憶力をサイバー犯罪課や離婚寸前の妻(教授)が研究対象に従ってるって、新鮮かも。これはきっとシリーズ化しそう。
読了日:11月28日 著者:堂場 瞬一
https://bookmeter.com/books/13140736
■どんまい
重松さん×野球×カープというと、2013年の「赤ヘル1975」を思い出す。今作はそれより10年ほど前に連載された作品。40歳バツイチ洋子親子の話を軸に、各メンバーのグラウンド外の話も盛り込みながらの試合話が感動的。洋子親子の120%負けん気あふれる気合に禿同し。広島出身のおじいちゃんカントクが、ここ一番の時にメンバーを叱咤激励する言葉が胸に来ました。元高校球児のキャッチャー・将大と、プロ野球スターの吉岡の話の関係が段々歩み寄っていく所もいいなあ。最後の2ページは、もう涙なくして読めませんでした。どんまい!
読了日:12月01日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/13152883
■さよならの夜食カフェ-マカン・マラン おしまい (単行本)
「おしまい」ってマジですか?!。シャールさんどうなるの?!。そんな不安な気持ちを持ちながら読み始めました。「ビーズアクセサリーを作る、仲間はずれが怖い女子高生」「鼻高々でメディアにも出る料理人」「タワマンに住む、奥様方との付き合いがきつい主婦」。それぞれが縁あって「マカン・マラン」にご来店。今回はこの3人SNS疲れしている共通点があるのが目新しい。とりあえず、温かいものを飲んで一息つく。そういえばシャールさんっていつも出してくれるのはこれだもんね。私もいつかお店にたどり着けるかな。柳田先生も一緒にね。
読了日:12月02日 著者:古内 一絵
https://bookmeter.com/books/13198493
■WE LOVE ジジイ
有川浩さんの「3匹のおっさん」風な、ジイジ物かと思ったら。そうじゃなかったですね。都会から逃げてきた岸川がたどり着いた旧川西村。そこでぼんやり過ごしているうちに、地域のじいちゃん・ばあちゃんと少しずつ話すようになって、ちょっと溶け込んでいく様がいい感じ。味を感じなかったのに「お茶がおいしい」と感じられるようになるのは、全している証拠。そこに持ち上がった「輪投げ大会」。相手は隣町。合併吸収されたけど、こっちだって意地がある!。勝ち負け事って、一致団結するもんね。企業誘致できた外国人も溶け込んでいくのがよい
読了日:12月04日 著者:桂 望実
https://bookmeter.com/books/542354
■カンパニー
「カンパニー=バレエ団」。え、バレエって全然知らないけどと不安に思ったけど。人生にはいろんな場面があり、それぞれがその役を演じている。そう思うとすんなり入り込めました。「僕が踊れる時間は、もうそれほどない」。30年踊り続けた高野の言葉が印象的。誰もが今の立場で居続けられない。ならば今できることをしっかりやり遂げなきゃね。「努力・情熱・仲間」。いい言葉だ。後半公演に向けて、集団パフォーマーが新規加入したり、会社の意向が大きくなったり。最後までハラハラさせられたストーリーでした。一気読みでした。
読了日:12月08日 著者:伊吹 有喜
https://bookmeter.com/books/11777658
■ヴルスト! ヴルスト! ヴルスト!
ヴルストって何?と思って本を開きました。日本で言うソーセージね。解体間近の「かなめ荘」に住む勇人と髭太郎。同じ屋根の下になったが運命、試験の勉強したい勇人が、髭太郎のヴルストづくりに巻き込まれていく様が面白い。ヴルストを作ってみたはいいものの、いきなり食中毒って(笑)。二人とも最初はお先真っ暗だったけど、何事にも取り組む姿はいつか活路が見いだせる。巻き込んでおきながら、髭太郎が勇人に言う言葉が含蓄アリ。「たかが浪人したぐれえで何様のつもりだ」「一度請け負った仕事は責任を全うするのが大人」。人情物でした。
読了日:12月09日 著者:原 宏一
https://bookmeter.com/books/7308798
■風に恋う
「ぶつかり合うから、音楽は輝く」。一生懸命取り組む姿は、年齢関係なく美しい。生徒も指導者も、もうキラキラしてて。脳内に吹奏楽部の光景が広がりました。進学校故の練習の短さ、パートの中での競い合い、部長が1年生。指導者も外部指導者という名のフリーター。どれもまだ完成されていない登場人物たちが、切磋琢磨しながらお互い先に進んでいくのは。社会に出るまでのレッスンのように思えました。終盤の大会、部長・茶園から見た指揮者・瑛太郎の場面が胸キュンでした。指揮者ってそういう役目なのかと。若いっていいなあ。気分爽快な作品。
読了日:12月13日 著者:額賀 澪
https://bookmeter.com/books/12923370
■冷たい檻 (単行本)
472頁の厚さと冒頭の人物紹介の多さに。ちょっとたじろぎましたが。①駐在警察官失踪②昔の商業施設「タウン」の利権問題③児童・青年・老人・病院からなる「施設」に住む人々に起きる事件④主人公の調査官・樋口の過去。ほぼこの4つの話が入れ替わりで進む2日間だけので、さほど難しくない。ただそれぞれがすごく濃い。時刻をそれぞれ区切って、場面が転回していくので、読む手が止まりません。警察物でもあるけど、群像物っぽい。途中から何となく、「事件を起こした奴」と「その原因」はわかるけど、やっぱり!と悲しかったです。
読了日:12月15日 著者:伊岡 瞬
https://bookmeter.com/books/13031313
■廃墟ラブ 閉店屋五郎2
閉店した店を片付けに行ったはずが、いつの間にやら閉店の裏側騒動等に巻き込まれて行くって所が。今回も人情に厚いなあ。そう、店を仕舞うってことは何か問題があったということで。今回も色いろ巻き込まれ、娘に叱咤激励され。五郎なりの「どうするべきか」を相手に諭すところもいいな。3作目の元レースクイーンのタクシー運転手で元社長との話は。何となく甘酸っぱいような思いも加味されてましたね。平成の終わりにバブルの宴の話なんかは、そんなこともあったなあと、思い出しました。
読了日:12月19日 著者:原 宏一
https://bookmeter.com/books/13019507
■さざなみのよる
主人公が病気で亡くなってから話が始まる。そして家族等関係者の話の中に主人公が出てくる。だけど、「ふーん」というか「じーん」とこなかったのです。そういえば前作も、そんな感じだったな。「オススメ」で読んだけれど、私にはわかり暗線でした。ゴメンナサイ。
読了日:12月23日 著者:木皿 泉
https://bookmeter.com/books/12752022
■キッチン風見鶏 (ハルキ文庫)
あらすじを読んだ時に”見える”能力を持つ主人公ってどうよ、と正直思ったのですが。①「キッチン風見鶏」のアルバイト・翔平②オーナーの鳥居母娘③常連さんの手島&義理の息子④占い師・寿々⑤謎の老人・勉。あとはそれぞれの守護神たちってところかな。各章に誰が「主語」なのかを書くことで話も分かりやすい。それぞれの親子の話や、翔平と寿々が今まで”守護神が見える”ことでアウトサイダーだった共通点を見つけ仲良くなっていく、「ちょっと温かい」心になれるストーリーなのが。森沢作品らしいですね。悪い人が出てこない。終わり方もよし
読了日:12月25日 著者:森沢明夫
https://bookmeter.com/books/12936500

▼読書メーター
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『愛を巻き戻して』

「時は戻せやしない せめて愛だけ巻き戻して」 敬愛する杉山清貴&オメガトライブのアルバム曲から。 写真ブログ→読書&ランニング記録、そしておうちヨガ。

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